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第9話 朝霞家の中庭

Auteur: 釜瑪秋摩
last update Date de publication: 2025-08-02 20:08:04

 庭に出ると、朝の陽光が美しい日本庭園を照らしていた。昨夜見た彼岸花は相変わらず季節外れに咲いているが、昼間見ると不気味さよりも美しさの方が際立っている。

「美しいお庭ですね」

「ありがとうございます。先代からずっと、この庭を守ってまいりました」

 華の言葉に、私は振り返った。

「先代というと……?」

「旦那様のお父君でございます。もう随分前に亡くなられましたが」

 理玖の家族について、私は何も聞いていなかった。そういえば、契約の話以外で彼の私的なことは一切話題に上がっていない。

「そうなのですね……」

 庭を歩きながら、私は様々なことに思いを巡らせた。この美しい庭園、立派な屋敷、そして謎めいた主人。全てが絡み合って、一つの大きな謎を形作っているような気がした。

 池のほとりで立ち止まり、水面を見つめる。清らかな水に青空が映り、鯉がゆったりと泳いでいる。平和で美しい光景だった。

 その水面に自分の顔が映った時、私は一瞬息を止めた。

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